ペンギン対人間(1996)F30、油彩・キャンバス 第1回北の大地展ビエンナーレNHK帯広局長賞(奨励賞)

大学4年の夏に描いた。このころはもうすでにアトピーが相当悪化していて、かゆさとの戦いだった。北の大地展の審査員の一人に当時大学で教わっていた松樹路人先生がいらしたということもあって、出してみることにした。北の大地をテーマにした制作、ということで私が思い浮かんだのがペンギン。一見かわいいペンギンだが羽根の力は強力で、人の足なんか簡単にへし折れるらしい、という話をどこかで聞いたことがあって、「ペンギン対人間」という題名もすぐにでてきた。ところがペンギンは南極にはいるけど、北極にはいないんだね。しまった、と思ったが調べてみると昔はいたらしい。オオウミガラス、と呼ばれていたそうだが、人間に乱獲されて絶滅したらしい。ちょうどうまい具合に絵とマッチしててよかった(よくないが)。ラジオでどこかの国がミサイルを撃ったとか撃たなかったとか言っていたのを聞いた。人間の眼からミサイルが出ててしかもそれが誘導ミサイルで、ペンギンが空を飛んでミサイルを間一髪でかわしてて…とか、変なアイデアを浮かぶまま描いた。後で先生から聞いた話だけど、別の審査の人が「変な絵だ」としきりに言っていたそうな。この絵にも材木を額として釘うちでつけといたんだけど、審査してたら取れたらしい(笑)。展示が終わって帰ってきた絵には、白くてシンプルないい額がついてきていた。「いろいろご迷惑おかけしてすみません。額ありがとうございました」と電話した。
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