えろペンギンについて



 浮世絵春画は笑絵とも呼ばれ、自慰のオカズだけではない幅広い題材を提供しており、一例として、布団を相手に腰を振る若者、というオカズにはなりそうもない場面を描いた春画の存在は、自慰を目的とするポルノグラフィとは一線を画すものです。
 また生活の細部もしっかりと描かれていること、そこはかとないユーモアがあることにも着目すべきであると考えます。
 ユーモアや、生活が透けて見えるような細部の描写などのアイデアや工夫を大事にして制作している点で、えろペンギンは浮世絵春画に連なるものであると思っています。
 全人類を全ペン類に擬して描く、ということ自体がすでに戯画の領域で、そこにユーモアを盛り込んで戯画的要素がさらに強くなり、ペンギン戯画と自他ともに称する芸風で活動しておりますが、えろペンギンとて例外ではないということです。
 日本で生みだされ、外国では大規模な展覧会が開かれているにもかかわらず、国内においては未だに美術館で浮世絵春画の展覧会を開催することも出来ないような状況、春画がポルノと同一視され、えろペンギンの展示が過去において封鎖されたりするような状況が、少しでも好転することを願ってやみません。
 えろペンギンはやめてね、と言われることが多く、展示の機会がなかなかないのですが、こういった点をご勘案いただき、えろペンギンを排除せず、ふつうペンギンと一緒に展示させていただけますと、大変助かります。
 えろペンギンを展示させてくださった美術館・ギャラリーには、敬意と謝意を表します。


参考文献:「浮世絵春画を読む」(中公文庫、白倉 敬彦、早川 聞多、三橋 修、田中 優子)





(2012.4.1)
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