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サラエボの戦火の中でも、人々が「花を枯らすのは人間の恥だ」といって花に水をやり続けた、という話をいつだったかテレビで聴いた。
脳天気な絵が浮かんできた。口をにこやかなV字にして、爆弾の炸裂の隣で、じょうろを片手に花に水をやる女の子がいる、クレヨンで描かれた絵。能天気さが面白いといえば面白い。
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しばらく空想していて、別な考えが浮かんだ。このこは銃の代わりにじょうろを構えて闘っているのではないか。花を枯らさず見事に咲かせるという戦い。
それは名もなき小さな花。茎は細く葉は弱々しく。爆風で簡単に吹き飛びそうな。
それでも・・・。
パンドラの箱に最後に残ったもの。
「花を枯らすのは人間の恥だ」
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