すみませんシリーズ






すみません(2013年制作)

 だぶだぶにゆるんだ体を晒し、太宰治「人間失格」で股間を隠しただけの姿の四十男が、カメラのメモリの限り、10分近くひたすら謝り続ける。
 すみません、すみません、、、
 謝っているのか、それともただすみませんと言い続けているだけなのか区別がつかなくなっていき、突然映像は終わる(メモリがなくなった)。
 ちなみに、メモリが無くなり録画が止まっているのに気づかず、カメラの電源が自動で切れるまで合わせて20分ほど、男は謝り続けていた。





すみません 飲んだくれバージョン(2014年制作)

 だぶだぶにゆるんだ体を晒し、太宰治「人間失格」で股間を隠しただけの姿の四十男が、カメラのメモリの限り、10分近くひたすら謝り続ける前作「すみません」から一年。
今度は酒を飲みながらひたすら謝り続ける。
飲みながらも謝り続けるのは、男にとって苦痛なのかそれとも快楽なのか。
 そして突然映像は終わる(メモリがなくなった)。
 ちなみに、メモリが無くなり録画が止まったあとも、酒を飲み干した空き瓶を振り回したり歌ったりしながら、カメラの電源が自動で切れるまで合わせて20分ほど、男は謝り続けていた。
酒は、宮坂醸造株式会社とアートプロジェクト沙庭の共同企画による限定販売酒「真澄アーティストラベル」。
 2014年の、たかはしびわの作品を使って作られたものを使用している(純米吟醸酒、アルコール度数13%)。
協力:宮坂醸造株式会社、アートプロジェクト沙庭





すみません スマホバージョン(2017年制作)

 だぶだぶにゆるんだ体を晒し、太宰治「人間失格」で股間を隠しただけの姿の四十男が、カメラのメモリの限り、10分近くひたすら酒を飲みながら謝り続ける前作「すみません 飲んだくれバージョン」から三年後。
 四十半ばとなった男は金隠しに太宰治「人間失格」の文章が流れ続けるスマホを採用し、禿げ上がった頭部をブラシで刺激するという無駄なあがきをしつつひたすら謝り続ける。
突然居丈高になったかと思えば平身低頭、愛想笑い。夢も希望も若さもない、今後の期待の持てない己の後半生に対するいら立ちがそうさせるのか。はたまた男の更年期か。
 そして突然映像は終わる(メモリがなくなった)。
 ちなみに、メモリが無くなり録画が止まったあとも、ブラシを振り回したりその勢いで金隠しの奥の陰部をチラ見せしたりしながら、カメラの電源が自動で切れるまで合わせて20分ほど、男は謝り続けていた。





すみません 感染対策バージョン(2020年制作)

 だぶだぶにゆるんだ体を晒し、太宰治「人間失格」が流れ続けるスマホで股間を隠しただけの姿の40半ばの男が、カメラのメモリの限り、10分近くひたすら謝り続ける前作「すみません スマホバージョン」から3年。
 2020年、世界は新型コロナウィルスの感染拡大によって大きな社会変容の時を迎えていた。
 40代後半になった男が、新しい生活様式に則り、再び「人間失格」で股間を隠しながら、マスク・消毒液完備で謝り続ける。
 感染してすみません、感染させてすみません、陽性かも知れなくてすみません、自粛警察ですみません、十分な補償もせずすみません、クラスターになってすみません、咳をしてすみません、会食してすみません、感染拡大地域を行き来してすみません、無職になってすみません、出社してすみません…
 そして突然映像は終わる(メモリがなくなった)。
 ちなみに、メモリが無くなり録画が止まったあとも、咳き込みながら、カメラの電源が自動で切れるまで合わせて20分ほど、男は謝り続けていた。
 男が陽性なのかどうかは不明である。



スマホバージョンまでのプロモビデオhttps://youtu.be/pRCIJeBxrNg



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